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ここ数年、スポーツイベントの運営に携わるようになってからというもの、夏休みというものを取ったことは皆無に等しい。7月下旬の「スイム&ラン大会」、8月中旬の山形大学のコンペの応募、下旬の「アドベンチャー大会」も無事終了したので、自分へのご褒美旅行と洒落てみた。

昨年夏、東急グランデコスキー場で「アドベンチャー大会」の開催が可能かどうかというオファーを受け、7月と2月の2回、裏磐梯を訪れる機会があり、それ以来グランデコの大平支配人と親しくさせて貰っている。7月に訪ねた時は田中総支配人、大平支配人を始めとした職員の方8名と早朝から、ブナ林の「猫魔ヶ岳やまびこ探勝路」を往復11km、雄国沼に群生するニッコウキスゲの観賞トレッキングに行った。また今年2月には会津磐梯山を目の前に眺めながら、深雪のデコ平を習いたてのテレマークスキーで存分に楽しみ、凍結した小野川湖では大平支配人、マネージャーの3人で氷上MTBを試乗した想い出がある。
               裏磐梯グランデコ・スキーツアー

アドベンチャー大会を是非裏磐梯で実現させたいと思っていた矢先、大平さんに軽井沢への転勤命令が下り、夢は“幻”と終わった・・・
新しい職場に落ち着いたころを見計らって電話をしてみる。もうすっかり職場にも慣れた様子で「良いところだよ。是非おいでよ。但し、夏は忙しいから夏休みが過ぎた頃だったらイイネ。旨い居酒屋を見つけたからネ」という誘いを受け、図々しくも早速予約を入れてしまう。7月下旬と8月下旬、僕らにとってのビッグイベントも無事終わり、今回の遅い夏休みを迎えることが出来た。

9月1日(金)pm9:00恵比寿駅に集合。佐野マネージャー、彼女の同僚で昔BEARSのスキーに良く来て貰っていた由香ちゃん(現在は一級建築士として大活躍している)、浜ちゃん、私の4人は、浜ちゃんのグランビア号で一路軽井沢を目指す。僕らはしっかり夕飯を摂ってからの旅だったが、浜ちゃんは仕事を終えすぐに駆けつけてくれたこともあり、夕食は摂ってないとのことだった。「まあ、浜ちゃんの気に入ったとこだったら(休憩は)何時でも何処でもいいよ。でもさぁーなんか中途半端だよね。ガンガン飛ばして行っちゃう?」とクマジィの恫喝とも取れる発言に浜ちゃんは黙ってハンドルを握り直し嫌みとも取れる行動に出た。いきなりスピードメーターは140km/hを指している。思わず絶句!!・・・ニヤニヤしながら前方を見ている。そうこうしているうち、グランビア号は碓氷バイパスに差し掛かっていた。

碓氷峠といえば‘99年3月、宮古島ストロングマンを目指したオミノショップ主催の「東京―軽井沢160kmロングライド」に、国分さん、茂君の3人で参加、強風と寒さで凍えるような体験をした。碓氷峠は気温-2℃で路面はバッチリ凍結、バイクはスリップするわ、ボトルは凍って飲めないわで転倒を繰り返し、散々なツーリングだったことを思い出した。

碓氷峠を登ると、もう軽井沢駅も近い。pm11:00、恵比寿を出てから丁度2時間で到着。駅近くの居酒屋に入り、無事到着を祝って軽い食事をする。午前0時、「東急ハーベストクラブ旧軽井沢ホテル」に到着、チェックインを済ませ一階奥の部屋に・・・
なんと二間続きの部屋を用意してくれていた。部屋は広く床はウッディの落ち着いた佇まいに一同ビックリ、さすが旧軽井沢・・・何となくリッチな気分になるから不思議だ。軽く飲んでから就寝!!

朝日が部屋に差し込んでいる。今日は快晴だ。
am8:00起床、早朝ジョグの予定が夕べ飲み過ぎて約束していた6:30には起きられず、やむなくレストランに向かう。洒落たガゼボ(洋風あずまや)のある芝生広場を眺めながらのブレックファーストは気分も落ち着く。2時間の長い朝食を終え大平総支配人に挨拶する。緑に包まれ、流れのある中庭に移りしばしの歓談・・・
 昨年7月のトレッキング、今年2月のスキーの思い出話をしながら話が弾む・・・
夕食は、例の「旨い居酒屋」に連れて行って貰う約束をして部屋に戻る。
今回、これと言った主目的はないのだが、クマジィコラムにも書いたように軽井沢にはちょっとした想い出がある。代官山に住んでいた頃、オーナーに軽井沢に連れて行って貰ったことがある。その時、神戸三宮から本店を移した“茜屋珈琲店”に立ち寄り、元気だった船橋夫妻にお会いし、心斎橋や三宮でのお客さんのこと、玉井勝美著「珈琲野郎」にまつわるお話をさせて貰った想い出があった。久しぶりに茜屋の珈琲が飲める喜びと、現在の店主の方と昔話が出来ないものかと密かに期待していた。


まだまだ残暑が厳しいので、矢ヶ崎川に沿った「ささやきの小径」を万平ホテルに向かって歩き出す。散策路沿いの別荘地はモミの木やカラマツの他、ミズキやハンノキ、コナラ、エノキなどの落葉広葉樹の広がる閑かな森を抜け、万平ホテル裏の石畳の散策路を登り始める。しかし、車が入れるのか心配するほど急な坂道が続く・・・不安に駆られながらなおも登って行くと、案の定行き止まりに・・・万平ホテルまで引き返し、サナトリウムレーン((おきもちの道)を進むと、芭蕉句碑のある旧軽井沢銀座通りに出た。ホっと一安心。
 

ここは本当に銀座だった。夏休みが終わったにも拘わらずこの人混み・・・ちょっと下った右側に、あの黒い看板に白い文字の茜屋珈琲店が見えて来た。昼時なので混んでないかと心配したが、余裕でボックス席に座ることが出来た。店内は昔と変わっていない。黒と紫が基調の店内には大倉陶園のカップが整然と壁に掛けられている。
 
ブレンド珈琲を飲みながら僕の昔話を聞いて貰う。
20代前半、大阪支社(心斎橋)に転勤になった僕は、会社にはまだ親しい友人もなく、仕事を終えてもアパートに戻る気にもなれず、スキーの仲間と会うことが何よりの楽しみだった。そして読書の他にすることと言えば、美味しい珈琲屋さんを探して歩くのが日課となっていた。

会社の近くには七色の珈琲を飲ませてくれるMJBという珈琲屋さん、法善寺横町の近くには今福というお店、淀屋橋の地下にあった珈琲屋、京都にあるイノダ珈琲店などには良く通った。
そうこうしているうちに、心斎橋そごうデパートの隣に、周囲とはちょっと不釣り合いの真っ黒な格子戸のドアの横に、大きな黒い看板に白い文字で「ふなこし珈琲店」という看板が・・・その大きな看板に惹かれ中に入ってみる。店内には聞いたこともないクラシック音楽が静かに流れ、何とも言えない珈琲のかぐわしい香りが店内に充満している不思議な異空間だった。・・・銀プチのメガネを掛けたマスターの「いらっしゃい。どうぞこちらに・・・」優しい声に誘われカウンターに座る。カウンターには紫のタオルが二つ折りで綺麗に並べられ、お湯に浸してあったカップの水切りに使われていた。


黒くて分厚いカウンターで、壁に掛けてある洒落たデザインのカップで飲む珈琲の味は格別なものだった。「マスター、珈琲も雰囲気も最高だけど、このカウンターは凄いですね。」「この木はね、陸軍の兵舎を取り壊した時に出た、松の廃材を貰い受けて店に使ったんですよ。」と教えてくれた。珈琲一杯の値段は¥390−、帰りに貰った610円のお釣りは全て金ピカの小銭だった。こうして‘69年から’71年までの大阪転勤生活で「ふなこし珈琲店」無しでは語れなくなっていた。
‘71年に本社に戻り、大阪と東京を往復する機会が増える。そして’71年11月の大阪出張の際に本屋さんで見つけた玉井勝美著の「珈琲野郎」を持って店を覗くと「お買いあげしてくれたんですか有り難う、でもカバーが気に入らなくて作り直したんですよ。これを使って下さい。」とカウンターに積んであった白黒で扉を描いたカバーを頂いた。
そして、三宮は奥さん、心斎橋は旦那さんが切り盛りしていたのだが、軽井沢に本店を移したことを知る。数年後マンションのオーナーに連れて行って貰って以来の茜屋珈琲店、なんとなくそわそわドキドキする。ボックスに座ったことでお店の方とは話をする機会逸したが、帰りがけに店主の大谷さんとお話する機会が出来た。こうして、また軽井沢を訪れる目的が出来たことが何よりも嬉しい。

長〜い昔話に付き合わされ、眠そうになった仲間と外に出る。外はカンカン照りの日差しと凄い人混みで、歩くことさえ嫌になってくる。ふと美味しそうな看板が目に止まる。なんとあの三笠会館ではないか、パスタランチが美味しそうだったので入ることに・・・


旬の野菜が入ったパスタも美味しかったが、デザートのプリンがもっと美味しかった。失礼!!旧軽銀座をブラブラしながらホテルに戻る。
pm7:00,ロビーで総支配人と待ち合わせて外に出る。「ねえ〜ジュウジュウ、この忙しい時間に外出してもいいんですか?」と、ちょっと心配になってくる。【注:グランデコ以来、遊びの時はジュウジュウと呼ばせて貰っている。】「平気、平気、さあ旨い奴を喰おう」と居酒屋に向かう。「あれっ夕べ寄った店だ。」店内に入るとお客さんで一杯だった。予約している二階に案内される。僕らに気づいた店主が「夕べ遅くて何にも出せなくてスミマセンでした。」と怪訝な顔をして迎えてくれた。
焼き鳥、キンキの煮付けなどを注文し恵比寿生ビールで乾杯!!縁がある?・・・
キンキの煮付けは異常に旨かった。値段をみてビックリ!!なんと¥5,000―/尾・・・
これで不味かったから「うりゃー金返せ!」と怒鳴りちらすところだが、この旨さにはホント度肝を抜かれた。ここのおにぎりを途中に食べるのが習わしらしく、大きなおにぎりを食べることに・・・実に旨いおにぎりで女性陣も軽く食べてしまった。
団体さんが入ってきたところで腰を上げる。それでも3時間もいたことになる。ジュウジュウと別れホテルに戻り、ランプで照明された中庭で軽〜く一杯飲んでベッドに直行・・・

9/3(日)am7:00起床、マネージャーとジョグに出る。
軽井沢本通りから旧軽銀座を茜屋珈琲店目指してゆっくり走る。散歩をしている人たちに挨拶しながらのんびりジョグ・・・ショーハウスを通り、室尾犀星文学館を過ぎたあたりで折り返し、帰りは矢ヶ崎川を流れるせせらぎの音を聞きながら矢ヶ崎公園の大賀ホールまでの約6kmを40分ほど掛けて早朝ジョグを楽しむ。
シャワーの後、恵比寿三越で買い込んだパンでのんびり朝食、am11:00のチェックアウトでビックリ!!超激安・・・総支配人にお礼を言い、ついでに美味しいランチを食べられるところを教えて貰いホテルを後にする。


車を駐車場に置き、暑い日差しを避けながらモミの木やカラマツ林の樹間を通り、雲場の池まで散策する。雲場の池は縦に長く、周りは落葉広葉樹に囲まれ静かで散策にはとても適している。軽井沢はアレキサンダー・クロフト・ショーという宣教師が休息の場として見つけたところから発展したと紹介されている。キリスト教での休息とは、単にバカンスをとるという事ではなくて、一生懸命に生きたあとに、その生き方をじっくりと見つめ直して「自分を生かしているもの」に、もう一度考みる。・・・ふ〜ん、それが休息というものかぁ〜・・・
豊富な水量が流れているので水はとても綺麗で泳いでいる鴨の群れも楽しそうだ。
紅葉の頃が最高の季節らしい。今度は秋に来てみるとするか・・・


雲場の池を離れ、六本辻から雲場池通りを東雲の交差点に向かった右側にエスニック風の建物が見えて来た。総支配人に聞いたとっておきの「コクーンティーガーデン」である。
自家農園産の季節のサラダバイキングに茄子のキーマカレーを注文、自家製の丸パンとコーヒーが付いて締めて¥1,575−は安くて旨い!!
通りを散歩する人々を眺めながらゆっくりランチを楽しみホテルに戻る。


こうして、2006年の遅い夏休みは終わった。pm1:30ホテル出発・・・
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